MGD に関するドライアイの診断には 2 段階のアプローチが推奨されている。第 1 段階では、ドライアイ患者と正常者を鑑別する。第 2 段階では、 MGD 関連の蒸発亢進型ドライアイと涙液減少型ドライアイの鑑別を行い診断する。
の 2 種類のアプローチの 1 つは一般診療に従事している臨床医にとって適したもので、もう 1 つは専門科に従事する研究者に適したものである。提唱される検査法の根拠となるエビデンスは、臨床現場に応じて変わってくる。
日常診療の一般外来において、自覚症状を呈する患者への MGD 診断に適した検査の順番は、次の通りである:
1. 問診票を実施する
2. 瞬目率を測定し、瞬目間隔を算出する
3. 下眼瞼の涙液メニスカスの高さを測定する
4. 涙液の浸透圧を測定する(可能な場合)
5. フルオレセイン染色にて涙液層破壊時間( Tear Film Break Up Time )と眼保護指数( Ocular Protection Index )を測定する
6. 角結膜のフルオレセイン染色スコアを行う
7. シルマー試験かそれに該当する試験(綿糸法)を行う
検査項目 1 、 4 、 5 、 6 が陽性(異常)の場合は、ドライアイ状態の存在のエビデンスになるが、涙液減少型ドライアイなのか蒸発亢進型のドライアイなのか特定できない。涙液フロー レート、涙液メニスカスの高さ、またはシルマー試験を試行し、涙液減少型ドライアイの診断にたどり着く。
8. 前回の診察時に MGD の分類(有症状か無症状か)がなされてない場合には、上記の検査順の最後に以下の検査を試行する:
a. 眼瞼の形態学的な変化を定量化する
b. 圧出: meibum の圧出性と質を定量化し評価する
c. マイボグラフィ:腺組織の消失を定量化する
これら検査によって一般ドライアイの診断が想定され、涙液のフローと量が正常である場合には、蒸発亢進型ドライアイが考えられる。マイボーム腺のドライア イへの関与の程度は MGD の定量化によって示される。この検査順は、眼表面上皮の染色の有無、ドライアイの有無に関わらず、自覚症状を有する MGD の診断にも用いることができる。各検査の値は、治療における病態の反応性の評価にも用いることができる。 |